第十四回 一袋で二度おいしい
登場人物
ある日、力強いメッセージが頭に降りてきました。
「ハッシュドビーフ」
いつも冷蔵庫の中身と相談しながら「なんとなく」作るものを決めているのですが、今回は違います。人知の及ばぬ謎現象に乗っかったら、一体何が起きるのでしょうか。
用意するのはmitasuビーフと牛肉の薄切り、冷蔵室で見つけた使いかけの玉ねぎに数個のマッシュルーム。mitasuにはあらかじめ肉や野菜が入っていますが、ハッシュドビーフには薄切り肉を使いたい。そこで今回はわざわざ別に薄切り肉を買い足しました。
ここで「ん? 調理の手間を省くためにmitasuを使うのでは?」と違和感を覚えたあなた、mitasuイズムをよくご存じですね。そう、“少し手を加えるだけで本格的な一品になる”のが半調理レトルトのウリのはず。「買い物行ったり、下ごしらえしたり、じっくりと煮込んだり」が難しい時こそmitasuの出番、なわけですが……時には面倒なことがしたくなる日もあるんです。既に肉が入っているのに、わざわざ肉を買いに行く。そんな酔狂が楽しい日もあるんです。ごくたまに。
再びのお告げ
そんなわけで、気が変わらないうちに近所のスーパーへ。お盆前で安売りしていた交雑牛のスライスとハッシュドビーフのルーを買い、足早に立ち去ろうとしたところ……再び力強いメッセージが降りてきました。
「ユー、肉じゃがも作っちゃいなよ」
なるほど。mitasuを途中でああしてこうして……。お告げと共におぼろげな二刀流のアイデアが浮かんできたので、急遽こんにゃくを買い足し「ハッシュドビーフと肉じゃがの二本立て」で行くことに。帰って早速、調理スタートです。
作り方
(前半)
1.玉ねぎとマッシュルームをスライスし、いつものアイラップ(超絶便利な袋状のラップ)に放り込んで電子レンジへ
2.フライパンで薄切り肉を炒め、色が変わったら1で加熱調理した玉ねぎと牛肉を加える
3.ザルなどを使ってmitasuビーフの中身をスープと具に分け、スープだけをフライパンへ
4.水を適量足し、沸騰したらルーを割り入れて数分煮込み、ハッシュドビーフは完成
(後半)
1.こんにゃくの臭みを取るため熱湯で軽く茹で、ざるにあけておく
2.前半3で取り分けた具を鍋に入れ、水を適量加える
3.1のこんにゃくを加え、沸騰させる(アイラップで加熱した玉ねぎを追加しても〇)
4.めんつゆ、みりんなどで好みの味付けをする
5.軽く煮詰めて火を止め、さまして味を含ませる
今回のポイントは<mitasuを具とスープを分け、別の料理に仕立てる>ことです。
ハッシュドビーフの具は薄切りの肉と玉ねぎだけでいいので、mitasuの具材とスープをあらかじめ分けておき、それぞれ活用しました。
最初に「面倒なことがしたくなる~」なんて大層なことを言いましたが、実はさほど時間もかかっておりません(わざわざ買い物に出るのが億劫なだけで…)。2品同時進行で作れるので、調理時間もわずか15分ほど。お昼にハッシュドビーフを食べ、肉じゃがは夜の副菜として食卓の賑やかしとなりました。
ハッシュドビーフを作ると決めた時には全く予定になかった「同時調理」ですが、これは今後も深掘りできるかも。例えば、チキンカレーと筑前煮とか、シチューとブレンダーを使った何かとか……。
冒頭の謎のひらめきは、同時調理という経由地を経て、どこへ着地するのでしょう(多分つづく)。